しろくまちゃんとほっとけーき2011/03/02 12:50

教え子のKちゃんの去年生まれた赤ちゃんには おばあちゃんも、Kちゃんも絵本が好きなせいか うさこちゃんのシリーズをお誕生日プレゼントに して、その後「しろくまちゃんのホットケーキ」を ちょっと早いかなと思いながらプレゼントした。 その赤ちゃんWちゃんは、「しろくまちゃんのホットケーキ」 がお気に入りですとメールがきた。 だいすきなおやつをだいすきなおかあさんと作っておともだちと 食べるだけのお話ならいろいろつくれそうなものなのに、 こんなにベストセラーになるなんて不思議な気がすると 出版している会社の会長さんが、 まだ言葉をしゃべれないときの子にきいてみたいと思うそうだ。 そうだなぁ、ホットケーキつくるのって楽しいもんなぁ。 でも、Wちゃんにはどういうふうにうつってるんだろうね。 これからもいっぱい読んでもらって、いつか好きなわけを 教えてね。

行きて帰りし物語~あの日のこと2011/01/18 11:13

1994年1月16日。
阪神淡路大震災の日
あの朝のことをわすれられない人は
多いだろう。TVで刻々と写しだされるのは、
怪獣映画で毎回破壊されるセットの模型
のような、でも現実の瓦礫、破壊の後だった。

神戸、明石、姫路そして大阪、京都と
多くの友人がそのころ関西に住んでいた。
公衆電話でようやく通じた神戸のSさんが
「結構、地ワレとかして家の真ん中に亀裂が
入ってるけど、うちはまだ大丈夫なのよ。」
といい、在北海道の友人が「北海道からなら通じたよ。」
と長距離電話で姫路の友人の無事をしらせてくれた。
在大阪の幼馴染の無事を、やはりあちこちの
公衆電話からかけたもう一人の幼馴染が教えてくれた。

行きて帰りし物語とは、ファンタジーの類型とのことだが、
瀬田貞二さんが説明してくださったことが印象的だった。
たしかに、古典と呼ばれる絵本や児童文学は
「行って」何かを経験し、「帰ってくる」パターンが多い。

震災という、現実だけどこれまでとまったく
違った世界を体験し、しかしまだ帰りし場所を探し求めて
旅をしている方々のなんと多いこと。

美しい街並、あたらしい家、若い学生、子どもたちの笑顔
けれど、決して戻ってこない人、思い、時間。
ナルニア国のアスランの言葉は重たい。
「愛しい子、確かに会いに来たのだよ。でも、まだ迎えに
きたのではない。」

くしくも、朝びらき丸東の海へが映画化されて公開される。
アスランの国へ招かれし者、現実の国へ帰りしもの。
今年の行きて帰りしものたちの旅はどのように進むのだろう。

追悼録~小さな手紙2011/01/12 11:08

中学2年生の時だった。
TVの子役の少年に一目惚れ
した私は、彼が出ている番組に
問い合わせかメッセージのハガキを
出したことがあった。
突然、そのつたないメッセージが
番組で紹介されびっくりしたことがあった。

その翌日、一通の手書きの手紙
が届いた。番組に手紙のお礼、
そして今後の情報そしてこれからも
番組をかわいがってくださいと書かれていて
プロデューサー横澤彪とおしげもなく名前が。
プロデューサーという仕事がえらい人で
忙しい人という知識だけはあったので
「なんて、やさしい人なんだろう。」
そして、番組あてにくるハガキ1枚1枚を
丁寧に読んでくれてるのだというなにか
信頼のようなものがわいた。

その後、かなり有名な番組にそのプロデューサー
さんが出るたびに心の中でちょっと自慢
と、自分の中でニマっとした。
おととい、その方の訃報が報じられた。
多くの芸能人、大物芸人がその死を悼んでいた。

私のいただいた一通は彼が書いた何千通もの
手紙のうちの一通にすぎないのだけど、
きっとそんな一通を出す手間を惜しまない方
だったから、あれだけ慕われるお仕事が
できたのではないかと思う。

はじめてTVで手紙を読んでもらうという
貴重な思い出と1通の手紙をわざわざくださった
プロデューサーの横澤彪さんに心から感謝し、
ご冥福をお祈りしたい。